ライブレポート「Feeling」

にしな、完売のNHKホール公演で過去最大規模のツアーを完走
真っ白なステージを埋め尽くした心地よい一体感と熱狂
今年11月に開催される全国Zeppツアーも発表

2月12日の北海道・Zepp Sapporoを皮切りに全国を巡ってきたにしなのワンマンツアー「Feeling」。 彼女にとって過去最大規模となったそのツアーが4月28日、東京・NHKホールでツアーファイナルを迎えた。 にしなの歌、そして観客との関係性がますますタフになっていることを証明するものとなったそのライブの模様をレポートする。

ツアーファイナル会場の様子

会場に入って、まずそのステージセットに目を奪われた。 ステージの床、背景、さらには足下に置かれたモニタースピーカーやにしなのギターアンプまでが、 まるで雲の上のように真っ白。ステージ後方には白い花のオブジェが据えられている。 そんなステージに、これまた白い衣装を身につけ、バンドメンバーとともに登場したにしな。 ギターを爪弾き、「春一番」を歌い始める。柔らかなサウンドがその歌を包み込み、伸びやかに広がっていった。

白いステージでのパフォーマンス

そこから軽快なリズムが鳴り出すと、客席から手拍子が起きる。 「ファイナル東京、元気ですか?」と声をかけ、オーディエンスと一緒にカウントをして始まったのは「東京マーブル」。 にしなはハンドマイクで客席のすぐ近くまで歩み寄りながら、気持ちよさそうに音に身を委ねていった。

にしなと観客の一体感

続けて自らバブルガンを手にシャボン玉を発射しながらファンタジックに「夜間飛行」を届けると、 再びオーディエンスに手拍子を求めつつ「ケダモノのフレンズ」へ。 サビでは客席中でモフモフのしっぽが揺れる、すっかりお馴染みの光景も繰り広げられた。 それにしても、どの曲もものすごく開けているというか、とてもリラックスしたムードを帯びている。 真っ白なステージセットも、まるでまっさらな状態でシンプルにオーディエンスとコミュニケーションを取るという意思の表れのようだ。

幻想的なステージ演出

「改めてにしなです、よろしくお願いします。心残りがないように燃え尽きていきたいと思います」と挨拶すると、 ライブはさらにフレンドリーに、そしてエモーショナルになっていく。 真っ赤なライトの中にしながエレキギターをかき鳴らし、バンドも感情を爆発させるようなプレイを披露した「真白」、 ライブで聴くたびに情感が深まっていく「夜になって」、バンドの生み出すグルーヴが音源とは違う新鮮な表情を見せる「FRIDAY KIDS CHINA TOWN」。

赤いライトに包まれたエモーショナルなパフォーマンス

ふたたび力強いバンドサウンドが鳴り響く中、それを超える強靭な歌声を聞かせた「スローモーション」、 そして「ヘビースモーク」を経て、スポットライトに照らされたにしなが歌ったのは「青藍遊泳」。 いつ聴いてもすばらしい曲だ。思いの乗った歌が広いNHKホールの隅々まで、しっかりと広がっていくのが手に取るように感じられる。

青藍遊泳の静かなフィナーレ

その後のアンコールではスケール大きく届けた「ホットミルク」を経て「楽しかった〜!」と素直な感想を口にしたにしな。 「フィーリングって大切じゃん」という思いから付けられたツアータイトルどおり、 この日のライブにはそんな素朴な、でもだからこそ強い思いが宿っていた。

「私は神にも仏にもなれない。だからこそ自分を気に入ってるし、いろんなものを作りたい。 また音の鳴っている場所で会えたら嬉しく思います」。 いち人間としての感情を溢れさせながらオーディエンスと一緒に「シュガースポット」を歌うと、 最後は恒例の「アイニコイ」で締め。 シンプルなバンドサウンドで客席とひとつになって、ツアー「Feeling」は最高のフィナーレを描き出してみせた。

Reported by Tomohiro Ogawa
Photo by renzo masuda

■にしな ワンマンツアー2024「Feeling」
2月12⽇(⽉・祝) 札幌・Zepp Sapporo
2月19⽇(⽉) ⼤阪・梅⽥ CLUB QUATTRO
2月23⽇(⾦・祝) 福岡・Zepp Fukuoka
3月4⽇(⽉) 東京・恵⽐寿LIQUIDROOM
3月15⽇(⾦) 愛知・Zepp Nagoya
3月24⽇(⽇) 広島・CLUB QUATTRO
3月30⽇(⼟) ⼤阪・NHKホール大阪
4月6⽇(⼟) 宮城・仙台Rensa
4月13⽇(⼟) 新潟・LOTS
4月20⽇(⼟) ⾼松・オリーブホール
4月28⽇(⽇) 東京・NHKホール

■セットリスト
01. 春一番
02. 東京マーブル
03. 夜間飛行
04. ケダモノのフレンズ
05. 真白
06. 夜になって
07. FRIDAY KIDS CHINA TOWN
08. 透明な黒と鉄分のある赤
09. ワンルーム
10. It’s a piece of cake
11. ダーリン
12. U+
13. クランベリージャムをかけて
14. bugs
15. スローモーション
16. ヘビースモーク
17. 青藍遊泳
18. 1999

En1.ホットミルク
En2.シュガースポット
En3.アイニコイ

セットリストプレイリスト:https://nishina.lnk.to/Feeling